『思い出さがし』 51・いじめについて思うこと
「赤ちゃん」と言われると決して気持ちの良いものではありません。バカにされることは本当に辛くて、とても悲しいものです。自分の存在が否定されたことに怒りを覚えるのです。弱い子だと分かってからターゲットは決まってしまい、私が集中していじめられました。毎日たくさんのクラスメートが「赤ちゃん」と呼び「弱虫」とからかい続けたのです。クラスに居場所のなくなった私は図書館に逃げ込みました。そこには6年生の頼もしいお姉さんがいたのです。京子ちゃんと呼ばれていたそのお姉さんは、静かで優しい人でした。「私の横で本を読みなさい。いじわるされたら私が守ってあげるね。」と優しく声をかけてくれました。私はオドオドしながら京子お姉ちゃんの横で絵本を広げていました。人魚姫の話だったと思いますが、入口の戸が開くたびにドキドキしていました。やがて数人のグループが戸を開けて入ってきました。「こんなところに逃げてる。1年生は入ってはいけないのよ!」とリーダー格の子が声を荒げました。すかさず京子お姉さんが静かに言いました。「ここは大声を出す所じゃないのよ。本を読まない人は出て行きなさい。」天使の声に聞こえました。涙が流れました。私を睨んで出て行った仲間達を見ながら、京子お姉さんは涙を拭いてくれました。そして「ちいちゃん、誰にも負けない何かを大切にして頑張ってみてね。応援してるよ。」と言ってくれました。その日から私の自分育てが始まりました。 (つづく)