『思い出さがし』 50・いじめについて思うこと
今どのチャンネルを押しても「いじめ」についての話題が出て来ます。いじめは今も昔も変わらず起きているのでしょう。70年も前、私は北朝鮮で小学校1年生を迎えました。金沢から現地へ行ったのは私一人で、他の子達は日本全国から来ていました。私と同じ一人ぼっちもたくさんいたと思います。日本の中央から太平洋側と日本海側に分けると、日本海側から来たのは少数でした。太平洋側から来た子はとても明るくて、はきはきしていてフレンドリーだったようですが、日本海側から来た子3人は、のろくてはっきりしないので、少々まわりの子にとってはお荷物だったのでしょう。よく「はっきりしてよ。」「どっちなの?」「もう、おそいんだから。」と叱られてばかりいました。新潟と兵庫の日本海側から来た子と私の3人は怒声と罵声の中でウロウロしていました。3人で固まっていると「何でボヤボヤしているの?」「離れて動きなさいよ。」と言われ、黙って離れるしかありませんでした。何をしてもオドオドしている私を見て、リーダー格の子が「あなた何月生まれなの?」と質問され、弱々しく「2月生まれです。」と答えたところ「ヘェー1つ下なのね。赤ちゃんなんだ。」と言われて私は思わず「赤ちゃんじゃない。」と大きな声で言い返したところ、リーダーの仲間が何人も周りを取り囲んで「赤ちゃん赤ちゃん。」とはやし立てたのです。私はうつむいたまま、その嵐のようなコールの中で固まっていました。「あっ先生や!」という声で赤ちゃんコールは止まりましたが、それなりの抵抗を示した私は、いじめの対象となったのでした。(つづく)