『思い出さがし』 42・雨の中のおさんぽ
ある日の避難訓練の日、途中から雨に降られて藤棚の中に雨やどりをした時がありました。その日は第二幼稚園も同じ状態となり、トンネルの中に雨やどりをしたのです。その時の子ども達の声が先生方の日誌に綴られていました。「先生、雨の音がする。」「ほんとや、すてきな音楽みたいや。」「下の方から何か空気のにおいがする。」「雨のにおいや。」「そうや、パパと一緒に田んぼのおたまじゃくしを取りに行った帰りにも同じにおいがしたよ。」「葉っぱの間からポツンポツンって落ちてくる雨さんの音にもにおいがする。」「葉っぱが嬉しいなって雨を飲んどるね。」「雨の日もいいもんだね。」と言うわんぱく坊主がいて、みんなで大笑いをしたと記されていました。そして、雨の日におさんぽしようという子ども達の声を大切にして、優しく雨の降る日に傘をさして園の周りをおさんぽしたり、園庭をみんなで傘をさして一周したりしました。長靴を履いて嬉しそうに出かける子ども達の顔は輝いていました。おさんぽが終わると子ども達から「先生、雨のにおいは今日とこの前のにおいと違ってた。今日のにおいは甘いにおいがするよ。」「傘と雨がお話してたよ。そして、バイバイってしずくになって落ちていったよ。」と話してくれました。子ども達は詩人です。心の中に素敵なことばを持った詩人です。そんな子ども達の声を聞いて、感動できる大人が少なくなったのが残念です。