『思い出さがし』 38・事実を受け止めよう④
参観のお母さん方は子ども達が本音を言う姿を見て苦笑されたり、微笑んだり、そこまで言わなくてもといった表情が見えました。でも、子ども達は真剣です。大介くんが「やっぱり玲子みたいに、チカちゃんが本当に信じられる人にならんとだめやな。」と言うと、みんな大きく頷いていました。「信じてくれたら本当の姿を見せることができるんやね。」という子もいて、参観者から小さな拍手が起こりました。「みんな、今日はとても嬉しかったよ。大人になったら忘れてしまうことを、ちゃんと自分のことばで話してくれて感心しました。本当に信じ合える関係ができるとありのままの自分を見せることができるんだということがよくわかりました。チカちゃんが玲子さんにありのままの姿を見せる理由がはっきりして感動しました。ありのままを受け止めて生きることのできる世界を大切にしたいと思います。こんなみなさんに育てて下さったお家の人たちに感謝します。みんなにありがとう。」言い終える時、終業ベルが鳴りました。張りつめた空気がほぐれると「先生。トイレ行かせてください。」という子がたくさんいて、お母さん方から笑い声が聞こえて来ました。この授業を境にして、チカちゃんのお父さんは考えを深められたようです。チカちゃんのアザを事実として受け止めることを家族で話し合い、力を合わせて他人の非情の目やことばに家族で対応し、チカちゃんを支えたそうです。ポニーテールのチカちゃんを支えた家族の愛は本物の優しさだったのでしょうね。