『思い出さがし』 23・自信のある子は人をほめる
大人の中で、人を常にけなして、小さなことにもケチをつけたり悪口を言ったりする人
は、どちらかというと劣等感の強い人に多い様に思います。「私がこうしてやった。」
とか「あれは私の一言があったからだ。」とか「私ならそれ位のこと朝飯前だ。」とい
う人を見ていると、何と底の浅い人なんだろうと思ってしまいます。「そんなことでき
んのか。オレに任せとけ。」と言って友人が説明書を何度も読み返しているのを見た
利口ぶった人が、友人の作業を取り上げてやっていました。でも、彼の手に渡った
作品は、どんどん形が崩れていく様に思えたので、私は見るに見かねて「やっぱり
持ち主のやり方でやったほうが良いのじゃないの」と口をはさんだところ「この説明
書は欠陥品や。それか、この物自体が欠陥品やと思う。店へ返して来い。」と吐き
捨てる様に言ったのです。いつもイヤな奴だと思っていた人達は「本人のやり方に
任せろよ。」と優しく言ってその場を離れました。大学生の頃だったと思います。世
界の有名な建築物を毎月1つずつ作って飾りつけるものだったと思いますが、数日
後オランダの風車の様なものと小屋がつながった素敵な建物を持って来てくれたの
があの友人でした。それを見た私達は一斉に「すごい!あの時のものか。」と声をか
けました。「うん。ようやく出来たんや。」とはにかむ友人に向かって例の欠陥品だと
言った友人は「オレなら3日で出来たのに。」と言って部屋を出て行きました。これと
反対に幼稚園の5才児で、バスの中から看板の文字をスラスラ読める子を見て「先
生、Kちゃんこんな難しい字、早く読めるんやぞ、すごいね。かっこいいね。」と自分
のことのようにほめる子がいます。聞くところによると、人をほめた子は何でもできてスポーツも抜群だとのこと。自信がある子は人をほめれるのです。